ABOUT

アメリカ西海岸にある人気ワイナリーの若きオーナーは言った。

「俺たちのワインを味わうことは俺たちの土地を味わうということ。うちのワインを最大限楽しみたければうちのワイナリーに来ればいい。ここで育ったブドウたちと同じ空気を吸い、 同じ日差しを浴びながら飲むワインは最高さ。」

 

西日本の山奥にある人気スモークレストランの二代目店主は言った。

「東京にうちのスモークハムを卸せることはとても光栄。しかし、食材はすべて自分たちの手と目の届く範囲で調達している。よって、作れる量にも限界がある。商品はあくまでもここに足を運んでもらうためのきっかけ作りにすぎない。」

 

アメリカの西海岸と西日本。

このふたつの西には、地産地消や伝統的技法、 人や自然との有機的なつながりを大事にする 若き職人(クラフトマン)が多く存在する。

彼らの手によって丁寧かつ自由に紡がれた商品はどれも、世に出回る「情報」だけでは解読することができない、人の温もりを感じられる「体験」を提供している。

 

テクノロジーが進歩した今、「情報」は距離や文化や言語の壁を飛び越え、手元のスマートフォンでいつでも入手できるようになった。 世界との精神的な距離を確実に縮めてくれている。

一方で、その膨大な情報量に惑わされ、 自分らしさや自分なりの心地よさを見失わないためにも、 スマートフォンの持ち手ではなく、 空いているもう片方の手でなにをするかが重要なのだ。

その手で握手をしよう。

海の向こうにいる、同じ価値観を持った、まだ見ぬトモダチと。

そして対話し、目で見て、物に触れ、同じ空気を吸ってみよう。

 

そんな「体験」と「情報」のハイブリッドこそ、 ふたつの西が共有する、新たな世代の新たな価値観なのかもしれない。

アメリカ西海岸と西日本の若きクラフトマンたちを訪ねる旅。

 


NEW WESTS Chronicle STAFF

Director 引地かい

11歳から17歳までカリフォルニア州サンディエゴで過ごす。1998年に大学入学のため帰国。卒業後、大手広告代理店、企画プロデュース会社を経て2015年にコンテンツプロダクション、TOKYOEDEGE.を立ち上げる。2013年よりライフワークであった自分のルーツをめぐる旅を本格化。各地の同世代アーティストやクラフトマンを訪ね、太平洋を横断するネットワーク形成に日々尽力する。