森崇顕|COFFEE COUNTY|福岡県久留米市

福岡県久留米在住の孤高コーヒーロースターが追求する

コーヒーをワインのように愉しむ方法とは。

文:引地かい

 

僕はお米もワインもコーヒーも大好きである。大好きではあるが、詳しいかと問われるとそうでもない。もちろん好みはあるものの、残念ながらそのものに対する探究心はさほど持ち合わせていない。今までに参加したお米の食べ比べやワインテイスティング、コーヒーのカッピングで、「おいしい!」と思うことはあっても「楽しい!」と思ったことは、一度もない。きっと僕の好きという感情は、ワインやコーヒーそのものに対してではなく、それらがあることで豊かになる「暮らし」や「シーン」に対して向けられているのだ。豊かな暮らしを形成する大切な要素として、「大好き」なのだろう。

 

よって僕は、自分でそれらの知識を深めるために時間を費やしたりしない。時間を費やすのは、それらの知識に長けた、最終的には「お任せします」と言える、できれば同じ価値観を共有できる同世代のプロフェッショナルを見つけ出し、彼らとその都度会って話し、そして彼らのファンになることである。

 

森崇顕くんは福岡県久留米市でCOFFEE COUNTYというコーヒーロースターを営んでいる。地元の人でも「え?そんなところにコーヒー屋なんてあったっけ?」と言われてしまうほど、大通りの裏の裏の抜け道沿いに、ひっそりとお店を構えている。しかし彼自身はコーヒー業界ではひときわ注目を集める実力派若手コーヒーロースターだ。国内のコーヒー焙煎・テイスティング競技会では上位入賞の常連であり、部門によっては審査員も務めるほどだ。

 

大学卒業と同時にコーヒー業界に入った彼は、お店の運営やコーヒー豆の卸、焙煎を一通り経験した後、「産地に行きたい」という衝動にかられる。「なんでこの豆はこういう味になったのか?もっと豆の個性を引き出す方法はないだろうか?作り手の人に直接会って話を聞きたい、など、そういう思いが強くなり、それを満たすためには産地に行くしかないだろう、と。」そして会社を飛び出し、中米のニカラグアにあるコーヒー農園に3ヶ月間滞在した後、2013年にCOFFEE COUNTYを立ち上げた。

 

そんな情熱を持ちながらも、ガツガツとした感じはなく、いつも自分のペースを保ちながらもくもくとコーヒーを淹れたり焙煎したりしている。イメージとしては、典型的な「路地裏にある知る人ぞ知る喫茶店でカウンターの向こうに立っている人」である。僕は彼のファンである。きっとこれからも彼の淹れるコーヒーを飲みにここに来るだろう。

 

そしてもうひとつ彼のファンである理由がある。彼が開発したボトル入りコーヒー、Cafevinoだ。「コーヒーもワインのように作り手や産地が表現されるべき」

というなんとも彼らしい発想を軸に、彼が訪れたコーヒー農園の豆を丁寧に焙煎・抽出し、ボトリングした、まさに彼の体験そのものが詰まった商品だ。常温でも温めても、アイスにしても美味しく味わえる。Cafevineはすでに何種類ものバージョンがリリースされており、中にはシングルオリジンだけでなくブレンドに挑戦したものもある。そのクオリティへのこだわりから、毎度数量限定で発売され、すぐ完売してしまう人気商品だ。デザインも洗練されており、様々なシーンでのギフトとして重宝している。

 

コーヒーのある豊かな暮らし。その豊かさの幅を彼は日々広げ続けている。2016年秋、COFFEE COUNTYの2店舗目が福岡薬院にオープンした。また福岡に行く理由がひとつ増えた。

 

森 崇顕 | もり たかあき

COFFEE COUNTYオーナー。札幌、福岡にてコーヒー関連会社で働いたのち、3ヶ月のコーヒー農家での滞在を経て2013年にCOFFEE COUNTYを立ち上げる。現在でも展開するコーヒー豆すべてのバイイングおよびロースティングを担当。日本各地でイベントやポップアップなども展開する。待望の2店舗目が2016年9月、福岡薬院にオープンした。

http://coffeecounty.cc

 

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写真:伊藤 大介