高須健太郎|醇窯(JUNYO)|福岡県糸島市

福岡県糸島の陶芸家、高須健太郎の醇窯に感じる

海と土と音楽とストリートの香り。

 文:引地かい

 

糸島の内海のほど近く、のどかな丘の上に醇窯の工房はある。その日はまだ夏の香りが残る暑い日だった。照りつける太陽の下、窯に入る前の陶器たちが日向ぼっこをしていた。奥の工房からはハードコアパンクが聴こえてくる。車を降りた瞬間から僕は、その心地よさの虜になった。

 

醇窯をひとりで展開する高須さんは、もともと福岡市内の生まれ。陶芸をやっていたお母様の影響で、この道に進むのはとても自然な流れだったそうだ。彼曰く「福岡はまわりに多くの焼き物があるので、昔からそういう文化が当たり前にあったので」とのこと。そうなのかあ、と感心していたのも束の間、彼が福岡大学法学部を出ていることを知り「いやいや、全然普通の流れじゃねえっすよ。」とつっこんだ。

 

大学を卒業した後、本格的に陶芸の道を志すため、陶芸が盛んな愛知県瀬戸市の訓練校に通った。「瀬戸焼きは技法も素材も結構ぐちゃぐちゃで、それが逆に性にあっていた気もします。」福岡に戻った現在でも瀬戸の土を使うことが多いそう。「瀬戸の土と、この工房の裏山から掘った土をまぜたりもします。土の表現力、素材感、そして柔軟性にとても魅力を感じます。そして土器のように、どこか人の手を感じるプリミティブなものが好きですね。」

 

実は彼の工房を訪れたのはこれが二回目。前回は約3ヶ月前に視察も兼ねてお邪魔させていただいた。その時、陶芸とは直接関係ないのだが、工房のガレージに新品のカブを発見した。「これは近所用なんですよ〜。」と嬉しそうに言っていた。そして今回、そのカブが「いい感じ」にカスタムされていた。その「いい感じ」とは、まさに僕ら世代が持つストリート感というか、ミックス感だ。

 

実はその、僕らにとってとても心地よい香りを、彼の作品から感じたのが始まりだった。土っぽさ、クラフト感、大胆さ、など自然へのリスペクトがありながらも、装いが洗練されていて都会的。サイズも比較的大ぶり。色使いや形など、どこかに日本っぽさを感じながらも、ベースとしては洋風。カリフォルニアっぽい。それが僕の醇窯に対する第一印象だった。

 

先に説明した通り、高須さんはカリフォルニアに住んだことはない。頻繁に訪れているというわけでもない。しかし彼は学生時代、福岡の海と山に囲まれながらスケートボードを片手に洋楽のレコードを買いあさる日々を送っていた。ほぼ似たようなことを同じ頃、僕はカリフォルニアでやっていたのだ。様々なジャンルが共存する、ごちゃまぜストリートミックス時代を豊かな自然とともに過ごすと、こうなるのかもしれない。

 

海外への展開を伺うと「僕を含めた作家たちは、基本ひとりとか少人数でやっているので、生産量もお金の流れも、企業や産業とは全く違う。言ってしまえば音楽業界のメジャーとインディーズぐらい違う。海外に興味がないわけではないのですが、手が回らないというのが本音ですね。」そしてこう続ける。

「メジャーとインディーズ、その中で僕はインディーズを選んだ、ってことです。かっこつけているわけではなく、単純に居心地の良いところにいたい。そう思っています。」それこそまさにカリフォルニアンが言いそうなセリフではないか。

 

高須 健太郎 | たかす けんたろう

福岡市出身。陶芸家の母の影響で幼い頃から粘土遊びをして育つ。福岡大学卒業後、本格的に陶芸の道に進むため愛知県瀬戸の訓練校に通い、その後、福岡に戻り、自身の工房を構える。醇窯の名は母から受け継いだもの。福岡を代表する若手人気陶芸家のひとり。

http://junyo-itoshima.com

 

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写真:伊藤 大介